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パキラを外で育てるリスクと対策|葉焼け・害虫・冬越しの全てを徹底解説

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観葉植物のパキラを外で育てたいけれど、枯らしてしまわないか心配していませんか。確かに、パキラは室内で育てるイメージが強く、「屋外に出したら枯れてしまった」という失敗談を聞くこともあります。パキラを屋外に出すのはいつからが良いのか、気をつけるべき直射日光と葉焼けの対策はどうすればいいのか、迷う点は多いものです。

この記事では、パキラを外で育てる基本と季節の管理について、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。特に外で育てる夏の水やりと管理の方法や、多くの人が失敗しがちな外に出しっぱなしにするリスクについても深く掘り下げていきます。

さらに、基本をマスターした方向けに、パキラを外で育てる応用編と冬越しについても詳しく見ていきましょう。パキラを大きくしたい場合の育て方や、逆に今のサイズを維持したい(大きくしたくない)時の管理法、美しい樹形を整える剪定のコツまで網羅します。

もちろん、最も重要な外で育てる冬の管理方法や、安全に越冬させるために必要なこと、そして厄介な屋外の害虫トラブルと対処法も具体的に紹介します。最後にパキラを外で育てる総まとめとして記事全体の要点を確認し、あなたのパキラ栽培を成功に導きます。

パキラを外で育てる基本と季節の管理

  • パキラを屋外に出すのはいつから?
  • 気をつけるべき直射日光と葉焼け
  • 外で育てる夏の水やりと管理
  • 外に出しっぱなしにするリスク
  • 屋外の害虫トラブルと対処法

パキラを屋外に出すのはいつから?

緑のしおりイメージ

パキラを屋外に出す最適なタイミングは、春が深まり、夜間の最低気温が安定して15℃以上を保てるようになる5月頃が理想です。パキラは中南米の熱帯原産の植物であり、暖かい気候を好みます。そのため、寒さには非常に弱く、気温が10℃を下回るような環境は、パキラにとって大きなストレスとなり、生育不良や葉の黄変を引き起こす原因となります。

特に注意が必要なのが、春先に突然発生することがある「遅霜(おそじも)」です。パキラが一度でも霜に当たると、葉の細胞が凍結・破壊され、致命的なダメージを受けてしまいます。そのため、天気予報をこまめにチェックし、遅霜の心配が完全になくなってから屋外に出すのが安全です。お住まいの地域の過去の気温や平年の霜の終日を知りたい場合は、気象庁の過去の気象データ検索などを参考にすると良いでしょう。

そして最も大切なのが、いきなり屋外の直射日光に当てるのではなく、最低でも1週間程度の「慣らし期間」を設けることです。長期間、室内の比較的安定した光環境にいたパキラの葉(陰葉)は、屋外の強い紫外線に対応できるように適応していません。急に強い光にさらすと、簡単に葉焼けを起こしてしまいます。

屋外への慣らし方ステップ

環境の急変は、葉焼けや急激な落葉の原因となります。焦らず、以下のステップで徐々に外の環境に慣らしていきましょう。

  1. 最初の1~3日: 屋外の明るい日陰(直射日光が絶対に当たらない場所)に、午前中の2~3時間だけ出します。風が強すぎない日を選びましょう。
  2. 次の2~3日: 明るい日陰に置く時間を半日程度に延ばします。この間、葉がぐったりしていないか、変色していないかなど、状態をよく観察してください。
  3. 最後の1~2日: 午前中の柔らかい日光が当たる場所に、数時間置いてみます。ここで問題がなければ、徐々に日光に当てる時間を延ばしていきます。もし少しでも葉焼けの兆候が見られたら、すぐに日陰に戻し、さらに時間をかけて慣らしましょう。

この丁寧な慣らし作業が、パキラを屋外環境に適応させ、元気に夏へと導くための非常に重要なプロセスです。

気をつけるべき直射日光と葉焼け

葉が透明になるのは葉焼けの可能性パキラは日光を好む植物ですが、それはあくまで「木漏れ日のような柔らかい光」です。原産地の熱帯雨林では、他の大きな木々の葉に守られ、強すぎる日差しを浴びることはありません。

日本の夏の、特に午後1時から3時頃の強烈な直射日光は、パキラにとって「強すぎる光」であり、葉の組織や葉緑素を破壊してしまう「葉焼け」を引き起こす最大の原因となります。葉焼けを起こすと、葉が白っぽくカサカサに色が抜けたり、ひどい場合には茶色や黒に変色してパリパリに枯れてしまったりします。

一度葉焼けによってダメージを受けた部分は、光合成の能力を失い、残念ながら元の美しい緑色に戻ることはありません。そのため、何よりも「予防」が肝心です。

葉焼けを防ぐ3つの工夫

  1. 置き場所を厳選する最も簡単で効果的な方法は、置き場所を工夫することです。建物の東側や北側など、午前中の柔らかい朝日だけが当たり、日が高くなる午後からは日陰になるような場所が理想的です。お庭にシンボルツリーなどの大きな木がある場合、その木陰はパキラにとって最高の避暑地となります。
  2. 遮光ネットを活用するベランダなどで適切な日陰が見つからない場合は、園芸用の「遮光ネット」を使いましょう。ホームセンターなどで手軽に購入でき、遮光率が30~50%程度のものがパキラには適しています。遮光率が高すぎると(70%以上など)、逆に日光不足で徒長(ひょろひょろと間延びすること)の原因になるため注意が必要です。
  3. 照り返しと蓄熱に対策する意外と見落としがちなのが、ベランダのコンクリート床や室外機の熱風からの「照り返し」と「蓄熱」です。床面からの反射光も葉焼けの原因になるほか、コンクリートが蓄えた熱が夜間に放出され、根にもダメージを与えることがあります。すのこやウッドパネル、鉢スタンド(フラワースタンド)などの上に置いて高さを出し、風通しを良くするだけでも、熱や光の影響をかなり軽減できます。

特に、長期間室内で管理していた株や、美しい斑(ふ)が入った品種のパキラは、葉緑素が少ないため、通常の緑葉のパキラよりも葉焼けしやすい傾向にあります。屋外に出す際は、より一層慎重に光の管理をしてあげてください。

外で育てる夏の水やりと管理

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屋外での水やりは、室内管理とは土の乾くスピードが格段に違うため、その頻度が大きく変わります。屋外は日光がよく当たり、常に風が通るため、鉢土の水分が蒸発しやすい環境です。そのため、水やりの回数は室内よりも多くなります。

基本的な原則は、「土の表面が乾いたら、鉢底から水が勢いよく流れ出るまでたっぷりと与える」ことです。中途半端な量の水やり(いわゆる「ちょい水」)は、土の表面しか湿らず、鉢の中心部にあるべき根まで水が届かないため、かえって水切れの原因になります。必ず鉢底から水が流れ出るのを確認してください。

特に夏場は生育も旺盛で水をよく吸い上げるため、水切れを起こしやすくなります。天気の良い日が続けば、ほぼ毎日水やりが必要になることも珍しくありません。ただし、毎日機械的に与えるのではなく、必ず土の表面を指で触って「乾いていること」を確認してから与える習慣をつけましょう。

水やりにおいて最も重要な注意点が、「時間帯」です。日中の最も気温が高い時間帯(午前11時~午後3時頃)の水やりは絶対に避けてください。真夏の炎天下で水を与えると、鉢の中で水が太陽熱でお湯のようになり、根を茹でてしまい、致命的な「根腐れ」の直接的な原因になります。水やりは、気温が比較的低い早朝か、夕方以降の涼しくなった時間帯に行いましょう。

また、鉢の受け皿に水が溜まったままになっていると、常に根が湿った状態(過湿)になり、酸素不足から根腐れを引き起こします。受け皿に溜まった水は、その都度必ず捨てるようにしてください。

梅雨の時期は、長雨に注意が必要です。雨が何日も続く予報が出ている場合は、軒下や屋根のあるベランダなど、雨が直接当たらない場所に移動させ、過湿状態が続くのを防ぎましょう。

外に出しっぱなしにするリスク

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パキラを屋外に「出しっぱなし」にすることは、日本の一般的な気候(温暖地・寒冷地)において、季節を問わず大きなリスクを伴います。日本の四季の変化、特に夏の猛暑やゲリラ豪雨、台風、そして冬の低温は、熱帯植物であるパキラにとって非常に過酷な環境です。

春から秋にかけては、これまで解説した通り、夏の強すぎる直射日光による「葉焼け」や、梅雨の長雨・夕立による「根腐れ」が主なリスクです。また、台風シーズンには、その大きな葉が風の抵抗を受けやすく、強風による鉢の転倒や、それに伴う幹や枝の折損といった深刻な物理的ダメージを受ける可能性があります。沿岸部では、潮風による塩害も考えられます。台風の接近が予想される場合は、議論の余地なく「必ず室内に避難させる」ことが唯一の正解です。面倒がらず、大切なパキラを守ってあげてください。

そして、これらすべてのリスクを上回る最大のリスクが「冬の寒さ」です。パキラは寒さに極めて弱く、生物学的に耐えられる温度の限界があります。一般的に、気温が10℃を下回ると生育が鈍り、5℃以下の環境にさらされると、細胞がダメージを受け、枯れてしまう可能性が非常に高くなります。一度でも霜に当たれば、そのダメージは致命的となり、回復はほぼ見込めません。

これらの理由から、パキラを安全に長期間育てるためには、季節や天候の変化に応じて置き場所を柔軟に移動できる「鉢植えでの管理」が必須と言えます。パキラにとって常に快適な環境を維持することが、屋外栽培を成功させる鍵となります。

屋外の害虫トラブルと対処法

パキラにつきやすい害虫の種類と対策パキラは比較的病害虫に強い植物ですが、屋外で管理する場合は、常に開放された環境にあるため、室内よりも害虫に遭遇する可能性が高くなります。風通しが良い環境は病気の予防に繋がる反面、アブラムシやハダニなどの虫が飛来・付着しやすくなるためです。

病害虫対策の基本は「早期発見・早期対処」です。水やりや葉の状態をチェックする際に、葉の裏側や新芽の付け根なども注意深く観察する習慣をつけましょう。被害を最小限に抑えることが、株の体力を温存させることに繋がります。

屋外で特に注意したい代表的な害虫と、その対策を以下の表にまとめます。

害虫名 特徴・症状 対策
ハダニ 葉の裏に寄生する非常に小さな(0.5mm程度)虫。高温・乾燥した環境を好み、夏場に多発する。葉の養分を吸い、葉の色が抜け、白いカスリ状の斑点が出る。ひどくなるとクモの巣のような糸を張る。 予防: ハダニは乾燥を嫌うため、定期的な葉水(霧吹きで葉の裏側にもかける)が最も効果的な予防になる。

駆除: 発生初期はシャワーなどの強い水流で洗い流す。数が多い場合は、観葉植物用の殺ダニ剤を使用する。

アブラムシ 新芽や若葉の裏に群生し、吸汁する。春から秋にかけて発生しやすい。生育を阻害するだけでなく、排泄物(甘露)が原因で「すす病」(葉が黒いカビで覆われる病気)を誘発することもある。 駆除: 見つけ次第、粘着テープや古い歯ブラシなどで物理的に取り除く。牛乳や石鹸水を薄めたスプレーも効果が期待できるが、再発防止のため観葉植物用の殺虫剤(オルトランなど)を散布するのが確実。
カイガラムシ 葉や茎に固着し、吸汁する。成虫になるとロウ物質や硬い殻で覆われ、薬剤が効きにくくなる非常に厄介な害虫。アブラムシ同様、すす病の原因にもなる。 駆除: 幼虫の時期(5月~7月頃)に薬剤を散布するのが最も効果的。成虫は薬剤が効かないため、歯ブラシやヘラなどでこすり落とす。再発防止のため、土に混ぜるタイプの浸透移行性殺虫剤も有効。
コガネムシ(幼虫) 成虫が土の中に産卵し、孵化した幼虫がパキラの根を食害する。屋外の鉢植えで急に元気がなくなった場合は、根の食害を疑う。 予防: 植え付け時に鉢底ネットを敷く。成虫が飛来する時期(夏)は、株元を不織布などで覆うのも有効。

駆除: 植え替え時に発見したらすべて取り除く。土壌に混ぜるタイプの専用薬剤も市販されている。

害虫の防除に関する詳しい情報や薬剤の選び方については、各種園芸メーカーのウェブサイトや、農林水産省の病害虫に関する情報ページなども参考に、適切な対策を行ってください。

パキラを外で育てる応用編と冬越し

  • パキラを大きくしたい場合の育て方
  • 大きくしたくない時の管理法
  • 樹形を整える剪定のコツ
  • 外で育てる冬の管理方法
  • 越冬させるために必要なこと
  • パキラを外で育てる総まとめ

パキラを大きくしたい場合の育て方

パキラに最適な日当たりと置き場所パキラを屋外で大きく、力強く育てたい場合、そのポテンシャルを最大限に引き出すためには、生育期である春から秋にかけての管理が非常に重要になります。

まず、日光は成長に不可欠ですが、葉焼けしない範囲で最大限明るい場所に置くことが求められます。前述の通り、午前中の光がたっぷり当たる半日陰や、遮光ネットで30~50%程度の日差しを和らげた環境が最適です。十分な光合成が、丈夫な幹と青々とした葉を作ります。

次に、水やりです。生育期は水をよく吸い上げるため、水切れは成長のブレーキとなります。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えることを徹底してください。

そして、成長を加速させるためには栄養補給(肥料)も欠かせません。成長が活発になる5月から9月頃にかけては、肥料を定期的に与えます。ゆっくりと長期間効果が持続する「緩効性化成肥料」(置き肥)を2ヶ月に1回程度、株元に置くのが基本です。さらに成長を促したい場合は、即効性のある「液体肥料」を規定の倍率に薄め、2週間に1回程度のペースで水やり代わりに与えると効果的です。ただし、真夏の猛暑で株が弱っている時期は、肥料焼け(根が肥料の濃い成分で傷むこと)を防ぐため、施肥を一時中断するのが賢明です。

最後に、根が伸びるスペースの確保も大切です。鉢の中で根がいっぱいになる「根詰まり」を起こすと、水や養分の吸収が阻害され、成長が著しく鈍化します。鉢底から根が見えたり、水の染み込みが悪くなったりしたら根詰まりのサインです。1~2年に1回を目安に、生育期(5月~7月頃)に一回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。

大きくしたくない時の管理法

パキラのサイズ選び方は?大きめ?小さめ?深さは?逆に、「お気に入りのインテリアに合う今のサイズを維持したい」「あまり大きくしたくない」という場合もあるでしょう。その場合は、成長を意図的に緩やかにする管理(矮化管理)を行います。

最も効果的で安全な方法は、定期的な「剪定」です。伸びすぎた枝や幹を切ることで、物理的にサイズをコントロールします。剪定によって樹形をコンパクトに保つことができます。剪定の具体的なコツは次の項目で詳しく解説します。

加えて、植え替えの頻度を空け、「根詰まり気味」にすることも一つの方法です。根が鉢の中で制限されると、地上部の成長も抑制されます。ただし、この方法は加減が難しく、根詰まりが進行しすぎると株全体の健康を害し、活力が失われたり、葉が落ちたりするリスクも伴います。

そのため、初心者の方にもおすすめできる確実な方法は、「植え替え時に鉢のサイズを大きくしない」ことです。2~3年に1回は植え替えを行い、根詰まりによる健康被害を防ぎつつ、同じサイズの鉢に植え直します。その際、鉢から抜いた根鉢(根と土が固まったもの)の周囲と底の古い土を3分の1ほど落とし、黒ずんだ古い根や長すぎる根を清潔なハサミで整理(カット)します。その後、新しい土で隙間を埋めながら同じ鉢に植え直します。これにより、根が伸びるスペースを物理的に制限し、成長スピードをコントロールできます。

また、肥料を控えめにすることも、成長スピードを抑える上で役立ちます。大きくしたい場合とは逆に、肥料を与える回数や量を減らします。ただし、完全にゼロにしてしまうと栄養不足で葉の色が悪くなることもあるため、春先に少量の緩効性肥料を与える程度にし、健康維持とのバランスを取ることが大切です。

樹形を整える剪定のコツ

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パキラは生育旺盛なため、特に日照と栄養に恵まれる屋外で育てていると、枝葉が四方八方に茂りすぎて樹形が乱れがちです。剪定は、見た目を美しく整えるだけでなく、株内部の風通しを良くして病害虫の発生を予防するという、健康管理の面でも非常に重要な作業です。

剪定に最適な時期は、成長が最も活発になる5月下旬から7月頃です。この時期であれば、剪定によるダメージからの回復が非常に早く、切った箇所からすぐに新しい芽が吹いてきます。遅くとも9月中旬までには終え、冬が来る前に新芽をある程度固めておくのが理想です。冬場の剪定は、株に大きな負担をかけるため避けましょう。

準備するものとして、切れ味の良い清潔な剪定バサミを用意してください。太い幹を切る場合は、園芸用のノコギリが必要な場合もあります。また、前述の通り、パキラの樹液に触れるとかぶれる場合があるため、ゴム手袋や園芸用手袋を着用すると安全です。

切り方のコツは、幹や枝にある「成長点」の少し(5mm~1cm程度)上で切ることです。成長点とは、枝の付け根や、幹の途中にある少し膨らんだ節のような部分、あるいは過去に葉が出ていた跡(茶色いポツポツ)を指します。この部分には新しい芽を出す力が備わっているため、そのすぐ上で切ることで、そこから新しい芽が伸びやすくなります。

どこを切るか迷った場合は、まず以下の枝から優先的に切っていくと、全体の風通しとバランスが良くなります。

  • 内側に向かって伸びている枝(内向枝)
  • 他の枝と交差している枝(交差枝)
  • 間延びしてひょろひょろになった枝(徒長枝)
  • 真下に向かって伸びている枝

パキラは非常に生命力が強いため、思い切って幹の途中で切り詰める「切り戻し剪定」(丸坊主のような状態)も可能です。生育期であれば、そこからでも元気に新芽が吹いてきます。

なお、剪定で切り落とした元気な枝は、「挿し木」として簡単に増やすことができます。10~15cmほどの長さに切り、先端の葉を2~3枚残して水に挿しておくだけでも発根します(水挿し)。発根促進剤を使ったり、清潔な挿し木用土に挿したりすると、さらに成功率が高まります。

外で育てる冬の管理方法

パキラが枯れる温度変化や冬の寒さ繰り返しになりますが、パキラは寒さに極めて弱いため、沖縄や一部の亜熱帯気候の離島を除き、日本のほとんどの地域で屋外での冬越しは不可能です。冬は必ず室内に取り込んで管理する必要があります。

室内に取り込むタイミングの目安は、夜間の最低気温が15℃を恒常的に下回り始めた頃です。地域にもよりますが、おおよそ10月中旬から11月上旬がその時期にあたります。「まだ大丈夫だろう」と油断せず、パキラが本格的な寒さによるダメージを受ける前に、早めに移動させることが重要です。

室内での管理にも、冬ならではの特有の注意点があります。屋外の環境とは全く異なるため、管理方法を「冬モード」に切り替える必要があります。

冬の室内管理 4つの重要ポイント

  1. 置き場所(光と夜間の冷気)冬でも光合成は行うため、日中はレースカーテン越しの柔らかい光が入る、できるだけ明るい窓辺が理想的な置き場所です。しかし、冬の窓際は、日中は暖かくても、夜間は外気と変わらないほど急激に温度が下がります。この昼夜の寒暖差がパキラには大きなストレスとなるため、夜間だけでも部屋の中央など、温度変化の少ない場所に移動させると安心です。あるいは、窓に断熱シートを貼ったり、発泡スチロールの板を立てかけたりして、冷気を遮断する工夫も有効です。
  2. 温度管理(最低10℃以上)パキラが健康を維持できる最低ラインとして、最低でも10℃以上、できれば12℃以上をキープできる部屋で管理してください。5℃以下になる環境は絶対に避けなければなりません。
  3. 水やり(徹底した乾燥管理)冬のパキラは成長がほぼ止まる「休眠期」に入ります。そのため、水はほとんど必要としません。水やりの頻度は、「土が完全に乾いてから、さらに数日~1週間待ってから」という程度に、厳しく控えます。月に1~2回、暖かい日の午前中に、常温の水を少量与える程度で十分な場合もあります。水のやりすぎは、冬の管理で最も多い失敗である「根腐れ」に直結します。土の乾燥具合が分かりにくい場合は、乾いた竹串や割り箸を土に挿してみて、内部の湿り気をチェックする方法もおすすめです。
  4. 乾燥対策(葉水と暖房の風)暖房によって冬の室内は非常に乾燥しています。この乾燥は、葉の潤いを奪い、葉を落とす原因になるだけでなく、ハダニが発生する絶好の条件となってしまいます。エアコンやストーブの暖房の風が直接当たる場所は絶対に避けてください。そして、乾燥対策として、霧吹きで葉の表裏に水をかける「葉水(はみず)」を、できれば毎日、こまめに行うことが非常に効果的です。葉水は湿度を保つだけでなく、ハダニの予防にも直結します。加湿器の使用も有効です。

越冬させるために必要なこと

注意したい葉が黄ばむ冬の管理大切なパキラを無事に越冬させるために、絶対に守るべきことは、突き詰めると「室内に取り込むタイミング」と「冬の室内での水やり管理」の2点に集約されます。

第一に、タイミングです。最低気温が10℃を下回るようになってから慌てて取り込むのでは遅すぎます。その時点で、パキラは既に目に見えない寒さによるダメージを蓄積しており、株が弱ってしまっている可能性が高いからです。最低気温が15℃を下回り始めたら、「早すぎるかな?」と感じるくらい早めに室内へ移動させることを心がけてください。

特に「霜(しも)」は致命的です。気温が5℃以下になると、地表の温度はさらに低くなることがあります。一度でも霜に当ててしまうと、パキラの葉や茎の内部の細胞が凍結・膨張して物理的に破壊され、黒く変色し、回復不能なダメージを受けて枯れてしまいます。

第二に、水やりです。前述の通り、冬は休眠期に入るため、根の活動が著しく低下します。その状態で夏と同じ感覚で水を与えれば、土はいつまでも乾かず、根が酸素不足に陥り、即座に根腐れにつながります。土が常に湿っている状態は絶対に避け、「徹底して乾燥気味」の管理を貫くことが、安全に冬を越すための最大のコツです。「水やりを忘れるくらいが丁度いい」と覚えておきましょう。

また、屋外から室内に取り込む際には、もう一つ重要な作業があります。それは「害虫チェック」です。葉の裏、茎、土の表面にハダニやカイガラムシ、アブラムシなどが潜んでいないかを念入りにチェックしましょう。室内は暖かく乾燥しているため、害虫(特にハダニ)にとっては天国のような環境です。一匹でも持ち込むと、天敵のいない室内で大発生するリスクがあります。もし発見した場合は、シャワーで洗い流したり、薬剤(住友化学園芸の病害虫ナビなどを参照)を使用したりして、屋外で完全に駆除してから室内に持ち込むようにしてください。

パキラを外で育てる総まとめ

パキラを屋外で健康に育てるための要点を、最後に箇条書きでまとめます。これらのポイントを押さえて、屋外でのパキラ栽培を楽しみましょう。

  • パキラは春から秋の暖かい季節に限り外で育てられる
  • 屋外デビューは夜間の最低気温が安定して15℃以上になる5月頃が目安
  • 室内から屋外へはいきなり出さず1週間ほどの「慣らし期間」を設ける
  • 夏の強烈な直射日光は葉焼けの原因になるため必ず避ける
  • 置き場所は午前中だけ日が当たる半日陰や木陰が理想的
  • 夏の水やりは土が乾きやすいため室内管理よりも頻度を増やす
  • 日中の高温時の水やりは鉢内が蒸れるため早朝か夕方に行う
  • 外に出しっぱなしは葉焼けや根腐れ、台風、冬の枯死リスクがある
  • 屋外ではハダニ、アブラムシ、カイガラムシなどの害虫に注意する
  • 大きくしたい場合は生育期に肥料を与え1~2年ごとに植え替える
  • サイズを維持したい場合は剪定と控えめな植え替えで調整する
  • 樹形を整える剪定は生育が活発な5月から7月に行うのが最適
  • パキラは寒さに極めて弱く日本の屋外での冬越しは不可能
  • 最低気温が15℃を下回り始めたら室内に取り込む準備を始める
  • 遅くとも最低気温が10℃になる前に必ず暖かい室内に移動させる
  • 冬の室内では水やりを厳しく控え、徹底して乾燥気味に管理する
  • 冬場の暖房による乾燥とハダニを防ぐため、こまめな葉水が非常に効果的