こんにちは。緑のしおりの「パーシー」です。
「モンステラ 育て方 広がる」で検索されたということは、モンステラが元気に育っている証拠かもしれませんね。でも、その「広がり方」が、ちょっと悩みのタネになっていませんか?
例えば、購入した時のコンパクトな姿はどこへやら、茎がひょろひょろと間延び(徒長)してしまったり、葉の重さに耐えきれず横に倒れるように広がって、場所を取りすぎている…という「広がりすぎ」の悩み。
または、それとは正反対に、株元がなんだかスカスカで寂しい感じがして、もっと葉を密に茂らせてフサフサとしたボリューム感のある姿に「茂らせたい(広げたい)」という悩み。
あるいは、モンステラの最大の魅力である、あの独特の葉の切れ込みがいつまで経っても入らない、新しく展開する葉が小さいままで「葉が割れない(広がらない)」…といった悩みもあるかもしれません。
実はこれらの悩み、一見バラバラのようで、根本的な原因や解決策はつながっていることが多いんです。この記事では、そうした「広がる」に関する様々なお悩みにアプローチします。剪定や切り戻しの方法から、支柱を使った仕立て直し、さらには挿し木で増やすコツまで、モンステラを理想の姿に近づけるための育て方を、私の経験も踏まえながらご紹介しますね。
- 広がりすぎる原因と剪定でのリセット方法
- 支柱を使った上手な誘導テクニック
- ボリュームを出したい時の「茂らせる」技術
- 切れ込みのある大きな葉を育てる環境づくり
モンステラの育て方と広がる悩みの原因
モンステラが「広がる」という言葉には、このように「樹形が乱れる」悩みと、「もっと茂ってほしい」という願いが混在しています。ここではまず、最も多い悩みである「広がりすぎる」問題、つまり樹形の乱れに注目して、その原因と具体的な対処法を見ていきましょう。
広がりすぎる徒長の原因は日照不足
緑のしおりイメージ「モンステラ、なんだかひょろひょろしてきたな…」「茎と茎の間隔が妙に長い気がする」と感じたら、それは「徒長(とちょう)」のサインかもしれません。
原因のほとんどは、日照不足ですね。モンステラは暗い場所にも耐えられる「耐陰性」があるとよく言われますが、これは大きな誤解を生みやすい言葉だと私は思っています。耐陰性とは、あくまで「暗い場所でもすぐに枯れたりはしない」というタフさを示すだけで、決して「暗い場所が好き」「暗い場所で元気に育つ」という意味ではないんです。
植物は光合成でエネルギーを作りますから、光が足りないと、必死に光を探して茎を伸ばします。特にモンステラは光を求める性質(光屈性)が強く、光が来る方向へ、葉と葉の間隔(節間:せっかん)を異常に長く伸ばしてしまうんです。これが「徒長」と呼ばれる現象で、「間延びした」「ひょろひょろ」とした印象になっちゃう最大の原因です。
理想の置き場所は、強い直射日光が当たらない、レースのカーテン越しのような「明るい日陰」です。リビングの窓際などがベストポジションかなと思います。もし今、お部屋の暗い隅に置いているなら、そこが徒長の原因かもしれません。かといって、急に強い日に当てると葉焼けするので、徐々に明るい場所へ移動させてあげてくださいね。
倒れる樹形を整える育て方
緑のしおりイメージ徒長とは別に、モンステラが順調に成長して葉が大きくなると、その重みで茎がだんだん倒れてくることがあります。特に大型のモンステラ・デリシオーサなどではよく見られますね。
これはモンステラのせいではなく、モンステラが本来、熱帯雨林のジャングルで他の大きな木に気根(空気中に出る茶色い根)を張り付かせながら、それを支えとして上へ上へと登っていく「半つる性」の植物だからなんです。
お部屋の中で育てる場合、その「登るための支え」が存在しないため、成長して葉が大きくなると、茎がその自重を支えきれなくなります。結果として、横方向へ倒れるように広がってしまうのは、ある意味、モンステラの自然な習性とも言えます。でも、お部屋の中だとスペース的にちょっと困ってしまいますよね。
この「倒れる」「横に広がりすぎる」という、つる性植物としての本質的な問題を解決してくれるのが、次のセクションで紹介する「剪定(切り戻し)」によるリセットと、「支柱」による上方への誘導テクニックです。
仕立て直しの鍵は剪定の時期と場所
緑のしおりイメージすでに広がりすぎてしまった姿を一度リセットするなら、「剪定(せんてい)」が一番直接的で効果的な方法です。思い切って伸びすぎた茎をカットし、コンパクトな姿に戻してあげましょう。風通しを良くして、病害虫を防ぐ目的もありますよ。
剪定の時期は「成長期」に
まず何より大事なのは「時期」です。剪定は植物にとって大きなストレス、いわば手術のようなもの。なので、回復力が最も高い成長期の春(4月〜6月頃)に行うのがベストシーズンかなと思います。この時期なら、切った後すぐに新しい芽が元気に動き出してくれます。
逆に、気温が下がる秋以降、特に冬の剪定は避けたほうが無難です。モンステラは寒さが苦手で、冬は成長がほぼ止まる「休眠期」に入ります。この時期に切ると、新しい芽がなかなか出てこないだけでなく、切り口から水分が蒸発したり、そこから雑菌が入って枯れ込んだりするリスクが非常に高くなります。樹形が気になっても…ここはグッと我慢ですね。
どこを切る?「節」の上が基本
切る場所もとっても重要です。モンステラの茎をよーく見ると、「節(ふし)」と呼ばれる、葉柄(葉の付け根)や気根(茶色い根っこ)が生えていた(あるいは生えている)部分のことで、茎がわずかに膨らんでいるのが分かると思います。
植物の新しい芽は、この「節」に潜んでいる「成長点」から出てきます。なので、カットする時は、残したい節(=ここから新芽を出させたい節)の1〜2cm上を狙って切るのが基本ルールです。こうすることで、残された株本体の最も上部にある節から、新しい芽が力強く吹き出すことが期待できます。
【注意】樹液でかぶれることも
モンステラはサトイモ科の植物で、その樹液(汁)には「シュウ酸カルシウム」という針状の結晶成分が含まれているそうです。これが皮膚に付着すると、人によっては強いかゆみや炎症を引き起こす可能性があります。
厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」でも、サトイモ科植物の毒性について注意喚起がされていますね。(出典:厚生労働省「身近な有毒植物」)
私も剪定の時は、肌を守るために必ず園芸用の手袋をはめて作業するようにしています!作業後にハサミを洗う時も、素手で触らないよう気をつけています。
支柱を使った上方への誘導テクニック
緑のしおりイメージ剪定が「乱れた樹形を治す対処法」だとしたら、支柱立ては「乱れないように育てる根本的な予防策」ですね。モンステラが倒れるのを物理的に防ぎ、本来の習性である上へ上へとキレイな樹形で誘導できます。
比較的簡単なのは、リングタイプの支柱(あんどん支柱など)を鉢の土に挿し込む方法です。支柱を立てたら、茎と支柱をビニール紐や麻紐で「8の字」に結んで固定します。8の字にすることで、茎が成長して太くなっても食い込みにくくなり、茎を傷めるのを防げますよ。
ただ、モンステラが本来持っている能力を最大限に引き出してあげたいなら、私が個人的におすすめしたいのは、ヘゴ棒(シダ植物の幹を使ったもの)やココスティック(ヤシ繊維を固めた棒)みたいな、表面がザラザラした太い支柱です。
モンステラは、このザラザラした表面に気根を活着(くっつける)させながら登っていきます。より自然に近い環境で育ててあげられる感じがしますし、何より、気根がしっかり活着すると株全体が安定します。さらに、植物自身が「登っている」と認識することで、成熟が促され、葉が大きくなったり、切れ込みが入りやすくなったりする効果も期待できるんです。
支柱立ては「植え替え」と同時に!
特にヘゴ棒のような太い支柱を立てる場合、後から土にグサッと挿し込むと、鉢の中で伸びている大事な根をブスッと傷つけてしまうリスクが非常に高いです。これは植物にとって大きなダメージになります。
なので、支柱を立てる作業は必ず「植え替え」と同時に行うのが鉄則です。手順としては、
- 一回り大きな新しい鉢に鉢底石を敷く。
- 鉢の真ん中に支柱を立て、鉢の1/3程度まで先に土を入れて支柱を固定する。
- そこにモンステラを配置し、気根が支柱に向くように調整する。
- 残りの土を鉢の縁から3〜4cm下まで入れて、株を固定する。
この順番が一番スムーズで、根へのダメージも最小限に抑えられますよ。
ボリュームUPで茂らせたい時のコツ
緑のしおりイメージここまでは「広がりすぎ」の悩みでしたが、今度は正反対。「株元がスカスカで寂しい…」「もっと葉を密に、フサフサに茂らせたい」という場合。
このボリュームアップの悩みにも、実は「剪定」が非常に効果的なんです。
植物には「頂芽優勢(ちょうがゆうせい)」という性質があるそうです。これは、茎の一番先端にある成長点(頂芽)が、成長を促す植物ホルモンを独占し、その下にある芽(脇芽)の成長を抑制するホルモンを放出している状態を指します。
そこで、あえて茎の先端を剪定(この場合は「ピンチ」とか「摘心(てきしん)」とも言います)して、その頂芽を取り除いてあげます。すると、頂芽優勢が人為的に解除されて、それまで抑制されて眠っていた脇芽が一斉に活性化し、育ち始めます。
結果として、それまで1本だった茎が剪定箇所のすぐ下にある節から2本、3本に分岐するように新しい芽が伸びて、株全体の葉数と密度が劇的に高まります。これが「剪定すると茂る」ことの科学的なメカニズムなんですね。面白いですよね。
葉が広がるモンステラの育て方と管理
モンステラの魅力を最大限に引き出す、「葉」そのもの(切れ込みや大きさ)に注目した育て方や、それを支える日々の基本的な管理方法をまとめます。前のセクションで剪定した茎を使って、増やす楽しみもありますよ!
挿し木や茎伏せでの増やし方
緑のしおりイメージ前のセクションで「広がりすぎ」対策として剪定した茎、これは決してゴミではありません。モンステラを増やすための、最も価値ある「増殖用の素材(挿し穂)」です!「節」さえしっかり付いていれば、そこから新しい株(子株)に再生させることができます。
挿し穂を準備する際は、必ず「節」と、できれば「気根」を含むように10〜15cm程度の長さに切り分けます。葉が大きすぎる場合は、葉からの水分の蒸散を抑えて発根にエネルギーを集中させるため、葉を半分くらいの大きさにハサミでカットしておくと成功率が上がりますよ。
水挿し(初心者向け)
一番簡単で、発根の様子が目に見えて楽しいのが「水挿し」かなと思います。節と気根を含む挿し穂を、水を入れたコップや花瓶に入れるだけ。
ただし、最大のポイントは水を毎日交換することです。特に夏場は水の交換を怠ると、水が腐敗し、挿し穂の切り口も一緒に腐ってしまいます。透明な容器なら、根が伸びてくる様子が観察できてワクワクしますよ。
挿し木(土挿し)
水挿しで発根させた後に土に植え替えるのが二度手間…という場合は、最初から土に挿す「挿し木」も一般的です。赤玉土(小粒)やバーミキュライト、あるいは市販の挿し木専用の清潔な土に挿します。発根状態は目に見えませんが、水替えの手間がないのは楽ですね。新しい芽が動き出したら、発根したサインです。
茎伏せ
主に、葉が付いていない茎の中間部分(ただし節は必ず含む)を利用する際に最適な方法です。湿らせた水苔やピートモスなどを浅いトレーに敷き、その上に茎を「寝かせる」ように置きます。茎が半分埋まる程度に軽く押し込み、水苔や土が乾燥しないよう、定期的に霧吹きなどで湿度を保ちます。節の部分から新しい芽と根が同時に発生する様子が観察できます。
モンステラの増やし方 比較表
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、ご自身の管理スタイルに合わせて選んでみてください。
| 方法 | 難易度 | メリット | デメリット | 主なポイント |
|---|---|---|---|---|
| 水挿し | 低 | ・発根プロセスが目に見える
・清潔で土が不要 |
・毎日の水替えが必須(怠ると腐敗)
・土への植え替えが必要 |
気根が付いていると発根が早い。
腐敗防止剤を少量入れるのも手。 |
| 挿し木(土挿し) | 中 | ・一度に多く処理可能
・水替えの手間がない |
・発根状態が見えない
・土中で腐敗するリスクがある |
葉が大きい場合は半分にカットする。
土は必ず清潔なものを使う。 |
| 茎伏せ | 中 | ・葉がない茎でも実行可能
・複数の芽が出やすい |
・高い湿度管理が必要
・発芽まで時間がかかる場合がある |
茎が乾燥しないよう霧吹きが重要。
ラップなどで保湿するのも有効。 |
増やした株で「寄せ植え」ボリュームアップ
こうして挿し木などで増やした子株が十分に発根・発芽したら、それを元の親株が植わっている鉢の隙間に植え戻すという「寄せ植え」テクニックもあります(植え替えと同時に行うのがベストです)。
これは、株元のスカスカだった空間が物理的に新しい子株によって埋められる、最も確実なボリュームアップ術です。一つの鉢で複数の株が同時に成長することになり、株全体の密度とボリューム感が劇的に向上しますよ。
葉が割れない?切れ込みが入る条件
モンステラといえば、やっぱりあのカッコイイ「葉の切れ込み(窓)」ですよね。でも、「うちのはいつまで経っても葉が割れない…」「新芽は出るけど、切れ込みのない丸い葉ばかり…」という悩み、本当によく聞きます。
まず大前提として、購入したばかりの若い株や、株分け・挿し木から間もない苗は、遺伝的・構造的にまだ切れ込みの入らない「幼葉」しか出せません。これは不良品とかではなく、そういう性質なんです。まずは健康に育てて、株が成熟するのを気長に待つことが最優先です。
問題は、ある程度育っているはずなのに割れない、という場合。これは植物が「成熟した状態」に至っていないか、あるいは何らかの「生育ストレス」にさらされていることを示すサインかもしれません。
切れ込みのある「成葉」を育てるチェックリスト
- 光は足りてる?(最重要): やはりこれが一番重要です。切れ込みのある大きな葉(成葉)を作るためには、膨大な光合成エネルギーが必要です。暗いと植物はエネルギーを節約するために小さな葉しか作れず、切れ込みも入りません。徒長(ひょろひょろ)している場合は、まず日照不足を疑ってください。
- 根詰まりしてない?: 鉢が根でパンパンだと、新しい根を伸ばすスペースがなく、水分や養分の吸収能力が著しく低下します。これでは成長が鈍化し、大きな葉を作る余裕がなくなります。(次の項目で詳しく解説しますね)
- 肥料は適切?: 成長期(春〜秋)には、葉を大きく展開させるための栄養素(特に窒素)が必要です。ただし、与えすぎは「根焼け」の原因になり逆効果です。
- 支柱はある?(見落としがち): これ、意外と見落としがちですが非常に重要です!セクション2.3でも触れましたが、つる性植物であるモンステラは、気根が支柱などに活着し、上へ「登る」環境が整って初めて「成熟した」と判断し、成葉(切れ込みのある葉)を出すようプログラムされているそうです。支柱がない環境では、植物は自らを「未熟な」状態であると認識し続け、幼葉の展開を繰り返す傾向があるんですよ。
根詰まり解消のための植え替え
緑のしおりイメージモンステラは生育が旺盛なので、育てている環境にもよりますが、1〜2年に1回程度を目安に一回り大きな鉢への植え替えが必要かなと思います。
植え替えのサインで一番分かりやすいのは、鉢底の穴から根がはみ出している状態ですね。もう鉢の中が根でいっぱいだよ、という悲鳴です。他にも、水やりをしても、水が土に染み込まずに表面を流れてしまう(水はけが悪い)、あるいは逆にすぐに水が抜けてしまう(土がほぼない)、新しい葉が出にくくなった、などもサインです。
あと、私が見落としがちだと思うのは、水やりや日照に問題がないはずなのに、葉の先端が茶色く枯れてくる時。これは根詰まりによって根の先端が傷み、水分を葉先まで十分に送れなくなっている典型的なサインです。
時期は剪定と同じく、植物の回復が早い成長期(春〜夏、ただしジメジメした梅雨の真夏日は避ける)に行います。鉢から株を引き抜き、固まった根鉢(根と土が一体化したもの)を、手や割り箸などで優しく3分の1程度ほぐして古い土を落とします。黒ずんだ古い根や傷んだ根があれば、清潔なハサミでカットします。その後、一回り大きな鉢(大きすぎると過湿の原因になるので注意)に、新しい市販の「観葉植物用の土」を使って植え替えてあげましょう。この時、土は水はけの良いものを選ぶのがポイントです。
水やりの基本と根腐れ対処法
緑のしおりイメージモンステラの栽培で一番失敗しやすく、そして枯らす最大の原因が、水のやりすぎによる「根腐れ」です。モンステラの根は太く多肉質で、ある程度の水分を蓄えることができます。そのため、乾燥には比較的強い一方で、常に土が湿っている状態(過湿)には非常に弱いんです。
水やりのタイミング
水やりの基本は「土の表面が乾いたらたっぷり」とよく言われますが、モンステラの場合は、それだと早すぎる場合があります。私の感覚では、「表面が乾いたのを確認した後、さらに指を土の第二関節くらいまで挿し込み、鉢の中央部分まで乾いている」のを感じてから、あげるようにしています。
水をあげる時は、中途半端ではなく、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと。こうすることで、土の中の古い空気が押し出され、新しい酸素が根に供給されます。そして、受け皿に溜まった水は必ず捨ててください。これを怠ると、根が常に水に浸かった状態になり、根腐れまっしぐらです。
季節による水やりのメリハリ
- 春~夏(成長期): 上記の「中まで乾いたらたっぷり」の基本ルールでOKです。
- 秋~冬(休眠期): 生育が緩慢になるため、水の要求量が格段に減ります。水やりの頻度を大幅に減らし、「土が(中央部分まで)乾いてから2~3日後」に与える程度で十分です。冬は「乾燥気味」に管理するのが鉄則です。
こうしたメリハリのある水やりが、根腐れを防ぐコツですね。(参考:株式会社ハイポネックスジャパン「観葉植物の元気がない!原因は何?」)
もしや根腐れ?と思ったら
「土が湿っているのに、葉にハリがなくしおれている…」。これは水切れの症状と酷似していますが、根が腐って水分を吸えない状態、つまり根腐れの最も危険なサインです。他にも、茎の根元(地際)が黒く変色し、触るとブヨブヨと柔らかい、土から悪臭がするといった場合は、かなり深刻です。
根腐れの緊急対処法(緊急手術)
根腐れが疑われたら、季節を問わず(ただし冬はリスクが高いですが)すぐに鉢から株を取り出します。
- 土をすべて水で優しく洗い流し、根の状態をむき出しにします。
- 健康な根は白く硬いのに対し、根腐れした根は黒く変色し、ブヨブヨと柔らかく、引っ張ると簡単にちぎれます。
- この黒く柔らかくなった根を、清潔なハサミでためらわずにすべて切り落とします。健全な白い部分まで切り戻すくらいの気持ちで、腐った部分は一切残さないようにします。
- 健全な根が少しでも残っていれば、新しい、水はけの良い「観葉植物用の土」を使って、必ず一回り小さな鉢(残った根の量に見合ったサイズ)に植え替えます。鉢が大きすぎると、土が多すぎて乾かず、再び根腐れする原因になります。
- 植え替え後、すぐに水を与えるのではなく、数日間は日陰で養生させます。
この段階で、弱った植物に栄養を与えようとして「肥料」を与えるのは絶対に禁物です。弱った根は肥料成分を吸収できず、逆に肥料の濃度でさらにダメージを受けます。もし使うなら、栄養(食事)ではなく、発根を促す「活力剤(メネデールなど)」を規定量使うのがおすすめです。
これはあくまで応急処置なので、状態がひどい場合は、購入した園芸店や植物の専門家の方に相談するのが一番確実だと思います。
失敗しない冬越しの温度と水管理
緑のしおりイメージ熱帯原産のモンステラにとって、日本の冬は最大の試練かもしれません。この時期の管理ミスは、それまでの成長をリセットしてしまうどころか、枯らしてしまう原因にもなります。春からの「広がり」をスムーズにするためにも、冬越しは慎重にいきましょう。
- 温度管理: 一般的に耐寒温度は5℃とされますが、これはあくまで「ギリギリ耐えられる」最低ラインで、実際には葉が傷むなどのダメージを受けます。健康な状態を維持し、春からの成長をスムーズにするためには、最低でも10℃以上をキープできる室内に置くのが強く推奨されます。日中は日当たりの良い窓辺でも、夜間は外気と変わらないほど温度が下がります。夜間は窓から20~30cm離すか、部屋の中央に移動させるなどの対策が必要です。
- 暖房の風: 暖房やエアコンの風が直接当たると、葉が極度に乾燥し、葉の縁が茶色くパリパリになってしまいます。これはハダニなどの害虫を誘発する原因にもなるので、置き場所には十分注意してくださいね。
- 水やり: 前述の通り、「乾燥気味」が鉄則です。土が中まで完全に乾いたのを確認してから、さらに2~3日待つくらいでOKです。水やりは、必ず気温の高い日中(午前中から昼)に、冷たすぎない常温の水を与えます。
- 冬のNG行動: 冬はモンステラの生育がほぼ停止する「休眠期」です。この時期に「肥料」と「剪定」は絶対にNGです!成長が止まっているので、肥料を与えても根はそれを吸収できません。吸収されなかった肥料成分は土壌環境を悪化させ、根を傷める(肥料焼け)原因となります。(参考:株式会社ハイポネックスジャパン「冬の観葉植物、枯らさずに管理するコツは?」)剪定も、低温によって切り口から枯れ込みが広がるリスクが非常に高いので、樹形が気になっても、春までじっと待ちましょう。
理想に広がるモンステラの育て方
ここまで本当にお疲れ様でした。「モンステラ 育て方 広がる」という一つのキーワードには、よくよく見ると、3つの異なる願いや悩みが込められていることが分かりますよね。
3つの「広がる」お悩み別まとめ
- 広がり「すぎ」て困る場合(徒長・樹形崩れ):
- → 解決策は「剪定(切り戻し)」によるリセットと、「支柱」による上方への誘導です。
- → 根本原因である「日照不足」を解消し、「明るい日陰」に置くことが最優先です。
- ボリュームを出して「茂らせたい」場合(株元がスカスカ):
- → 解決策は「剪定(ピンチ)」による脇芽の促進と、剪定した茎を使った「挿し木・茎伏せ(増殖)」です。
- → 増やした子株を親株に「寄せ植え」するのが最強のボリュームアップ術です。
- 葉が「広がらない(割れない)」場合(切れ込みなし):
- → 解決策は、株が「成熟」できる環境を整えること。
- → 「光」「根(根詰まり解消)」「肥料」「支柱(登る環境)」という6つの生育ストレスを見直します。
これら3つの悩みは一見バラバラのようで、実は「光の管理」「支柱の設置」「剪定と増殖の技術」という、モンステラの性質に合わせた基本的な育て方で全てつながっている、と私は思います。
モンステラは本当に生命力が強く、環境やお手入れに応えてくれる賢い植物です。今の状態に合わせて適切にお手入れしてあげれば、きっとあなたの理想の姿に「広がる」ように育ってくれるはず。ぜひ、楽しみながらチャレンジしてみてくださいね。


